俺様富豪と甘く危険な恋

「あさ……ひな……んっ」


トントン……。


再びノックの音に蓮は仕方なくキスをやめて立ち上がると、ドアへ行く。


「なんだ？　ダニエル」

「今日の夕食のご要望は？」

「はぁ～　そんなこと勝手に考えろ」

「まさかレンさま、美味しくいただくことを考えてはいませんよね？」


何事もなかったように装った栞南はドアに背を向けてベッドに腰を掛けていたが、ダニエルの言葉にドキッと肩が揺れる。


「傷が開くと病院行きですよ」


ダニエルの指摘に蓮は呆気にとられ、無言で部屋から追い出した。


「すまない」

「いいえ。ダニエルさんのいうことはもっともです。今は傷を治さないと」

「傷の痛みよりもお前が欲しいのに？」


甘えた瞳に胸がきゅんと締め付けられる。


「も、もう！　そういう事を昼間から言わないでください」


恋愛の経験が少ない栞南はそういうのが精一杯だ。胸がドキドキ暴れ出して困る。


「部屋に戻って休んでください。身体が少し熱い気がします」

「まだ話があるんだ」

「お話……？」


栞南は真剣な表情の蓮に小首を傾げた。