俺様富豪と甘く危険な恋
(土曜日……身を切られるみたいに痛い……)


土曜日まであと2日しかなかった。

蓮は立ち上がると、栞南を部屋に残し出て行った。



その日の夕食は会話が弾まない気づまりなものだった。

ジャスティン・ラウが今回の事件の首謀者だとあきらかになり、栞南は安全になった。もう気軽に外へ出かけられる。

そして……日本へも。

命の危険がなくなり飛び上がって喜ぶべきなのに、栞南の心は沈んでいくばかりだ。

でも、なんとか蓮の前では明るく振る舞おうと会話を試みるが、隣に座る男は静かに相槌を打つだけだ。

食事中、考え事をしているようだ。だが、黙って料理を口に運ぶ栞南は気づくと蓮に見つめられていた。

憂いを帯びた目と目が合うと、栞南の胸は切なく揺れる。


「朝日奈さん……」

「明日の予定は一日空けた。行きたいところに連れて行く」


ようやく蓮の口にした言葉に栞南はぽかんと口を開ける。



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