俺様富豪と甘く危険な恋

デート前日

食事が終わり、自室に戻った栞南はバスタブに湯を張りゆっくりバスタイムに浸っていた。

豪華なバスルームを使えるのも今日と明日だけ。

湯船に浸かって蓮と出会ったときを振り返っていると、しだいに胸がチクチク痛み始めてきてしまった。


「だめだめ！　今生の別れじゃないんだからっ」


暗くなる気持ちを振り切るように勢いよく立ち上がった。



パジャマ姿のまま部屋でドライヤーをかけていると、蓮がやってきて栞南はスイッチを止める。


「酒でも飲まないか？」

「傷に障りますよ？」

「そればかりだな。大丈夫だと言っただろう？」


手に持っているドライヤーが蓮に取り上げられる。蓮はドライヤーのスイッチを入れ、栞南のまだ半乾きの髪に熱をあてる。

蓮の長い指が栞南の髪に差し入れられ乾かされていく。


「柔らかくて……ねこっ毛だな」

「ねこっ毛だなんて言葉よく知っていますね？」

「昔、近所に住んでいた女の子がそうだったんだ。お前の髪を弄っていたら思い出したよ」


蓮はドライヤーのスイッチを切ると、栞南を立たせる。

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