俺様富豪と甘く危険な恋
栞南を愛しているとわからせたいがために、亡くなった婚約者の存在を言うべきではなかった。


「ご……ごめんなさい……そんな大事な……サングラスを私は――」

「あれは栞南のせいじゃない!」


蓮は強く言い、瞳を潤ませる栞南を抱きしめた。


「ごめんなさい……私が取らなければ……」

「栞南、過ぎたことをクヨクヨするのは好きじゃない。俺には今……この時が大事なんだ。ふたりでいられる時間はわずかなのに、自分たち以外のことは邪魔以外のなにものでもない」

「朝日奈さん……」


(朝日奈さんは……今、私だけを見てくれる……)


栞南はそれでも泣きたくなった。今度はうれし泣きだ。


(いつからこんなに好きになっちゃったんだろう……)


「お前を他の女と比べたりしない。出会った時の栞南は俺には理解できない不思議な女だったんだ。見守っていくうちにお前は俺のここに四六時中住み着いて離れなくなったんだ」


ここというところで、蓮は自分の胸を軽く叩いた。



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