俺様富豪と甘く危険な恋
翌日の朝食では見慣れない部屋の中になんとなく落ち着かない栞南だ。


ダニエルはいるが、いつもソファにいるボディーガードたちがいない。一緒に生活しているうちに彼らがいることに慣れてしまったのかもしれない。

トニーやボディーガードたちに今までのお礼が言えなくて残念だと思っていると、蓮の言葉を栞南は聞き逃してしまったようだ。


「――ごめんなさい。今なんて……？」

「今日のプランは？と聞いたんだ」


考え事をしていた栞南を優しいまなざしで見つめる蓮だ。


「あ……行きたいところはたくさんあるんです。やりたいことも」

「OK。どこへでも連れて行くよ」

「連れて行くって、もしかして車ですか？」

「ああ。もちろん」

「私、MTR（地下鉄）に乗りたいんです。それにスターフェリーも。だから車じゃない方が」


香港旅行を計画したときから、全部乗ってみたいと思っていたのだ。


「……わかった。栞南の望み通りでいいよ」

「ありがとうございます！　あ、でも傷が痛くなったらすぐに言ってくださいね？」


蓮の傷は良くなっているようだが、そう言わなければ我慢して言ってくれなさそうで、栞南はお願いした。

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