俺様富豪と甘く危険な恋
「えっ……？」

「何度も来るだろうし」

「そうですね。朝日奈さんに会いにまた来ます」


（また日本へ帰ることを思い出しちゃった……）


泣きそうな顔を見せたくなくて、潤む瞳を暗い海に向ける栞南だった。

背もたれに回されていた蓮の手が栞南の肩に置かれる。


「イギリスは1週間の滞在だ。仕事が終わったら日本へ行く」

「本当ですか？」


それほど遠くない日に蓮と会えると知らされ、栞南は潤んだ瞳を向ける。


「ああ。向こうから連絡する」

「はいっ。うれしいです」


ふたりが乗ったスターフェリーは大きな揺れもなく10分で香港島に到着した。


「朝日奈さん、最後に私が一番見たかった景色のところへ行きましょう！」


香港へ来たら100万ドルの夜景が見られるというヴィクトリア・ピークに一度は行っておいた方がいいと聞いている。

香港を離れる日、またここへ来れたら絶対に100万ドルの夜景を見てやると誓った観光地だ。あきらめていたが、こうして見に行くことが出来てよかった。

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