俺様富豪と甘く危険な恋
「めちゃくちゃ顔赤かったぜ。まだ俺のことが好きなのか? だからキレイになったアピールしてるのか?」

「そんなわけないでしょ! 絶対にないから!」


栞南は孝太郎と深い関係にならずに良かったと心から思った。


「強がるなよ。俺が静香と結婚するから、みじめに思われないように頑張ってんだろ? そんなのやめろよ。よけい惨めにみえる」

「ペラペラと勝手なこと言わないでよ! 彼氏はいるんだから!」

「見栄はいいから。いいから。じゃあな。これから静香のマンションへ行くから」


孝太郎はバカにしたような笑いを浮かべると、手を振って地下鉄の乗り場の方へ去って行った。


「なんなのようっ!」


結局、孝太郎に信じてもらえずモヤモヤな気持ちだけが残り、地団太を踏みたかった。


(あんな性格だったなんて……別れたときもひどいと思ったけれど、今日は輪にかけて彼がひどい男だとわかった)


ピューッと拭きつける風が頬に当たり、栞南はブルッと身体を震わせる。


(早く帰ろう……)


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