俺様富豪と甘く危険な恋
「ごめん、お腹すいたからラーメン作っちゃった」


もちろんインスタントラーメンは栞南が買ったものである。それにしても大きい方の鍋を使っている。何個作っているのか。


「いいよ」


ガスレンジに近づくと、やはり２袋作ったみたいだ。


「か、栞南も一緒に食べよう？」

「うん。今日はずっと食べていないんだった。他に食べられるものあるかな」


栞南は冷蔵庫をのぞき、昨日作ったマカロニサラダを出してテーブルの上に置いた。

ラーメンも出来上がり、優香は鍋ごとテーブルに出すとイスに座る。栞南も席に着くと、口を開いた。


「優香、突然帰ってきたのは何か理由があるの？」


小どんぶりにラーメンを入れて食べようとしていた優香の手が止まる。うつむいたままの優香はじっとしたまま動かない。


「優香？」


栞南は優香の手から箸を取り上げて、顔をのぞきこむ。

「私もさ～　男に騙され捨てられちゃったんだ」

「ええっ！？」


はははっと笑う優香の瞳にうっすら涙が見える。


「食べようよ。ラーメンのびちゃう。食べながら話すから」


優香は栞南に食べるよう勧めて、自分もラーメンをすする。栞南はその姿が切なくて、また泣いていた。

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