俺様富豪と甘く危険な恋
（どうしよう……むしょうに蓮に会いたくなっちゃった……）


栞南は衝動的にスマホをバッグから取り出すと、蓮にかける。

いつもどおり呼び出し音が鳴り、留守番電話に変わる。

栞南は何か言おうとためらったのち、言葉を発することが出来ずに電話を切った。

もう言葉が出てこなかった。なんと言ってよいのかわからないのだ。

気を紛らわせたくて親子丼をお箸ですくって口に入れると涙でしょっぱかった。

重い気分のまま半分ほど食べてごちそうさまをしようとしたとき、テーブルに置いたスマホに見知らぬ番号から電話がかかってきた。


「誰だろう……間違い電話かな」


そう口に出しながら、栞南は電話に出てみた。


「もし……もし……？」

『栞南』

「えっ？」


その声はまぎれもなく蓮だった。


「レンっ！？　レンだよね！？」


スマホを持つ栞南の手が震えて落としそうだ。


『一度しか言わない。俺たちは終わりだ』

「私たちは終わり？　どう……して……？　どうしてそんなことを言うのっ！？　何かあったんでしょう！？」

『新しい恋人が出来たんだ。お前をもう愛していない』

栞南は愕然となり、声がでない。

電話を切らないで欲しいと思うが、今にも切られそうでどうしていいのかわらなくなる。

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