俺様富豪と甘く危険な恋
「っ、レンっ！　お願い。ちゃんと話して！　説明して！」

『お前は捨てられたんだ。別の男を探せよ』


蓮の言葉を受け止められない栞南は名前を連呼することしかできない。


「レン！　レン！　レン！?」

『ミズノさん』


ダニエルだった。蓮からダニエルに変わったのだ。


「どういうことなんですか？　レンは？　どうしてレンから電話が――」

『何か欲しいものがあったら言ってください。もしくは小切手でも』


ダニエルのきっぱりした声が栞南の疑問をさえぎる。


「なにを――」

『もう二度と会わないので、後腐れなく誠意を見せるそうです』

「そんなっ！　なんでひどいことを言うの?　どうして今なの？　１ヶ月も経ってからなんで？　レンはそこにいるんですよね？　代わってください！」


ダニエルの言葉に愕然としながらも、腑に落ちなくて栞南は強く言う。


『おりますが話したくないと。ご希望のものを考えておいてください。こちらから連絡しますので』

「あ！　待って！　ま――」


一方的に電話が切られて栞南はスマホを見つめたまま茫然となった。


「どう……して……」


頬を伝わりテーブルに落ちる涙。

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