俺様富豪と甘く危険な恋
(どうして……私はお金目当てじゃない!)
口も利きたくないほど蓮に嫌われたのだろうか。今の栞南の脳裏には蓮と楽しい思い出が浮かんでいた。
(私はあの場かぎりの女だったの……?)
優香に言われた通りになってしまった。自分は騙され捨てられたのだと。
それからどのくらい経っただろうか。なにも手につかないまま茫然としている栞南の耳になにかが鳴る音が聞こえてきた。
音のする方へゆっくり頭を動かすと、床に放ったスマホが鳴っていた。
今は誰とも話したくない。無視しようとしたとき、着信の番号が先ほどのものだと気づく。
「!」
栞南は慌てて立ち上がると、床に転がるスマホを拾って電話にでる。
「も、もしもし!」
声が上ずっている。
『私です』
冷たく電話を切ったダニエルだった。蓮じゃなくてがっかりする。
「ダニエルさん……まだ言い忘れたことが?」
『もう一度念を押そうと思いまして』
「念って……」
確認のためにもう一度電話をしてくるダニエルに栞南は苛立つとともに、まだ話せることに安堵した。
口も利きたくないほど蓮に嫌われたのだろうか。今の栞南の脳裏には蓮と楽しい思い出が浮かんでいた。
(私はあの場かぎりの女だったの……?)
優香に言われた通りになってしまった。自分は騙され捨てられたのだと。
それからどのくらい経っただろうか。なにも手につかないまま茫然としている栞南の耳になにかが鳴る音が聞こえてきた。
音のする方へゆっくり頭を動かすと、床に放ったスマホが鳴っていた。
今は誰とも話したくない。無視しようとしたとき、着信の番号が先ほどのものだと気づく。
「!」
栞南は慌てて立ち上がると、床に転がるスマホを拾って電話にでる。
「も、もしもし!」
声が上ずっている。
『私です』
冷たく電話を切ったダニエルだった。蓮じゃなくてがっかりする。
「ダニエルさん……まだ言い忘れたことが?」
『もう一度念を押そうと思いまして』
「念って……」
確認のためにもう一度電話をしてくるダニエルに栞南は苛立つとともに、まだ話せることに安堵した。