俺様富豪と甘く危険な恋
「レンと変わってください！」


栞南は先ほどの話に納得していない。


『いいえ。今ここにはおりません』

「レンに好きな人が出来たんですか？　だからっ……」


恋人を想像してしまうと、続きの言葉が出てこなくなる。


『ショックでしょうが……そうです。レンさまに惹かれる女性はうんざりするほどいますから。レンさまの恋人になった女性は数えられないほどですよ』


栞南もそのうちのひとりだったと言われたようで、頭にガツンと殴られたような痛みを感じた。


（レンに恋人が……私はたくさんいた女性のひとり……）


手だけではなく足も震えてきて立っていられなくなる。栞南はヘナヘナと腰が抜けたようにその場に座り込んだ。


『レンさまは今の女性をミズノさんの時のように溺愛なさっていますよ』

「どうしてそんなことを言うんですか？」

『きっぱりレンさまをあきらめていただきたいからです』


（ダニエルさんは意地悪だ……）


「きっぱりあきらめるなんて出来ません。レンと話をさせてください！」


レンともう一度話をしたい一心で頼む。まるで自分が追いすがっているようで恥ずかしいが、このまま終わるのは嫌だった。

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