俺様富豪と甘く危険な恋
『無理ですね。どうしても話したいと言うのならここへ来て、ご自分の目で確かめてください』

「ここへってあのタワーマンションにですか？」

『ええ。そうです』

「明日行きますから！　レンにいるように言ってくださいっ！」


栞南はダニエルの返事を待たずに電話を切った。


（香港へ行かなきゃ。行って蓮とちゃんと話をしないと）


栞南は蓮に会いに行くことを決心して自室に行くとパソコンに向かった。


翌日の１０時５０分発の香港行があった。香港到着は１４時過ぎ。それが一番早い便だった。


栞南はチケットを予約し終えると、大きめのバッグに荷物を用意する。

パスポートをバッグの中に入れて準備は終わった。パスポートとお金、カードさえあれば足りないものがあっても問題ない。

蓮のことを考えると胸が痛くなる。


（早く明日になってほしい）


その晩、蓮を想って栞南はほとんど眠れなかった。空が白み始めると、横になっていられずジーンズとセーターに着替えた。

寝不足で顔色はさえなく、ごまかすように化粧を始める。



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