俺様富豪と甘く危険な恋
簡単に化粧を済ませた栞南はキッチンでポットに水を入れた。それから優香の部屋に足を向ける。そっと優香の部屋のドアを開けてベッドを見るといるはずの彼女はいなかった。


「優香、帰っていなかったんだ」


栞南はドアを閉めて、キッチンに立つとちょうどお湯が沸いた。カップにインスタントコーヒーとお湯を入れたとき、玄関の鍵が小さく開く音がした。

玄関のドアを静かに開けて優香が入ってきた。


「きゃっ！　びっくりした！」


玄関のすぐ横のキッチンに立っている栞南を見て、優香はびっくりして目をぱちくりさせた。


「おかえり」

「ただいま。土曜日なのに早いじゃん。眠れなかったの？」


優香はヒールを脱いで栞南に近づく。


「あれ？　お化粧もしてる。どうしたの？」


栞南の顔を眠そうな目でまじまじと見た優香は首を傾げる。


「これから香港へ行ってくる」

「ええっ！？　急にどうしたの！？」


眠そうだった目が大きく見開いたが、すぐに眉根を寄せる。


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