俺様富豪と甘く危険な恋
「逮捕? 事情を説明すれば大丈夫です。中身を知らなかったんですから」

「日本ならある程度は考慮されるだろうが、もし出国時に捕まったらどうなると思う? ニュースで時々見ないか? 何気なく預かったものが薬(ヤク)で無期懲役、もしくは死刑と」


栞南は死刑と聞いてサーッと血の気が無くなり、身体がふらついた。

ソファの背に手をついて震える足をどうにか立たせる。


(そう言う話は聞いたことがある……私も出国時に捕まっていたらそんな目にあっていた?)


「お掛けください」


栞南はダニエルに支えられソファに倒れ込むように座る。逮捕される自分を想像すると恐怖に呼吸が不規則に乱れる。


「気を失うなよ。まだ話すことがあるんだ」

「っ! 気なんて失いません! 私だってまだ聞きたいことがあるんですからっ」


栞南は座りなおすと、無理に背筋を伸ばす。


「本田さんは泥棒なんですか?」


彩を空港まで迎えに来たスーツ姿でスタイリッシュなメガネ姿のビジネスマンを思い出す。

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