俺様富豪と甘く危険な恋

幼馴染の彼女

「あら、あなたは……?」


蓮の隣に腰を下ろしたソフィアは華奢な首を傾げる。

蓮の腕はソフィアの腰を抱いており、まるで栞南がいないかのように彼女の方を向いていた。

栞南は手に持ったままだったサングラスをテーブルの上に置くと、バッグを鷲掴みにして玄関に向かう。


(もう無理なんだ……)


失恋は決定的。

栞南は涙をこらえながら玄関へ向かい部屋を出た。

玄関が閉まる音に蓮の顔が苦痛にゆがんだ。そのつらそうな顔を見たソフィアは大きくため息を吐いた。


「もうっ! やってらんないわ! いくら彼女のためだからって、こんなの良くないわよ!」


ソフィアは腰に置かれた手を振りほどくと立ち上がった。


「レン! 私は利用されるのが大っ嫌いなの。いつだって私は利用する方なんだから」


ソフィアは目を閉じてなにかをこらえている様な蓮に言い放つ。


「あなたには彼女が必要なの。ちゃんと話をしなさい。私が引き留めておくから」

幼馴染のソフィアには蓮の栞南への想いが手に取るようにわかっている。

1ヶ月前、ロンドンの警察から緊急連絡を受けたとき、すぐに飛んだのはソフィアで、今までずっと苦しむ蓮を見ていた。

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