俺様富豪と甘く危険な恋
スニーカーの栞南は砂浜でも支障なく歩けるが、高いヒールを履いているソフィアは一歩踏み出すごとにヒールがズブズブと砂に埋まり歩きづらそうだ。数歩歩いたソフィアは赤いヒールを脱ぎ、繋いでいない片方の手で持った。

水際まで行くと、石段に立ったままで話を聞くと言う栞南を強引に座らせた。そして隣にソフィアも腰かける。


「今から話すことはあなたにとって、とてもツラいことだから心して聞いてね。それから、言っておくけど私とレンはただの幼馴染よ」


最初にソフィアは念を押すように口にした。


「幼馴染……？」


（彼女は恋人ではなかった。だけど、どうしてレンは彼女を恋人だと思わせたの？）


「レンは……事故で視力を失ったの。わからなかった？　わからないわよね。レンは知られないよう気をつけていたみたいだから」


ソフィアの言葉に栞南は耳を疑った。今までそらしていた目をソフィアに向けてまじまじと見つめる。


「今……なんて……？」

「オークション会場に自ら運転をして向かっていたレンの車に、女性が飛び出してきたのよ」

「だからなんてっ！？」


栞南は自分の耳が信じられなくて金切り声になる。


「レンは目が見えないの」


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