俺様富豪と甘く危険な恋
「そんな……うそっ!」


(全然わからなかった……)


「落ち着いて。本当のことよ。ちゃんと聞いてくれないと話せないわ」


パニック一歩手前の栞南の肩に手を置き、ソフィアは厳しく言う。


「……話してください」


ソフィアの厳しい口調で栞南は少し落ち着きを取り戻した。


「レンの車に飛び出してきたのは、ジャスティン・ラウの恋人。それはあとでわかったことだけど。レンは彼女を避けて電信柱にぶつかったの。助手席にいたダニエルは軽傷で済んだけれど、レンはフロントガラスのせいで失明したの」

「ジャスティン・ラウの恋人が……」


自分を事件に巻き込んだ首謀者の名前は忘れようにも忘れられない。


「レンは苦しんでいるの。あなたを手放すことが最善だと思って。不自由な自分に縛りたくないのよ」

「勝手にそんなこと決めないで……」


ソフィアは静かに聞いている栞南が今にも倒れそうで気が気でなかった。しかしポツリ呟くように言った栞南は思ったより強い女性のようだとソフィアは感じた。

泣きそうになりながらもソフィアの言う通り静かに聞くと、立ち上がった。

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