俺様富豪と甘く危険な恋

そばに行きたい

栞南がリビングへ足を踏み入れると、蓮は窓の方に向いて立っていた。

本当に見えるみたいな後姿に同情せずにはいられない。


(もう車を運転することも、キレイな夜景を見ることも……出来ないなんて……)


「どうぞ、おかけください。お茶を入れましょう」


ダニエルに座るように言われたが、栞南は背を向けている蓮に近づいた。


「レン、座ろう?」


蓮の腕に手を置き、自分がいることを知らせる。


「ああ。ダニエル?」


蓮の腕に手を置いている栞南がいるのだが、離れたところにいるダニエルを呼ぶ。

疎外感……いや、蓮に頼られていないのだと、栞南は悲しくなった。

ダニエルがやってきて、栞南は蓮から離れる。そのまま突っ立っていると、ダニエルの問うような瞳とぶつかるが、彼は蓮を先ほど座っていたソファの位置に座らせた。


「……レン……事故のことを聞いていい……?」


ひどい目に遭ったのだから、思い出すのも、話すのも嫌かもしれないが、栞南は何から話してよいのかわからなかった。

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