俺様富豪と甘く危険な恋
蓮のそばに行きたい。そう思っても今の状態では取り付くしまもなくて近づけない。心にバリアーを張ったように近づけないのだ。


(私はどうしたらいいの……?)


休みをとっていないから、明日帰らないとならない。

ずっと蓮のそばにいてどんなことでもしてあげたいが、彼には何でも出来るダニエルがいる。

蓮がつまずいてもダニエルなら十分に支えられるが、自分の場合は一緒に転んでしまうのがおちだ。

そんな自分よりダニエルの方が何十倍も良いに決まっている。


(レンの日常生活に必要なのはダニエルさんなんだ……)


ベッドの上で膝を抱え、しばらくこれからどうしたらよいのか考えに没頭した。

蓮が近くにいるせいで、ここに滞在していた時のことがいろいろと思い出されてくる。

2時間後、ダイニングテーブルについた蓮は栞南の存在が感じられず口を開く。


「栞南は?」

「もちろん食事には呼んでいません。介助をされている姿を見られるのはお嫌でしょうから」


確かにそれが一番今の蓮には屈辱的な思いだった。愛している栞南に見られたくないとダニエルも把握している。



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