俺様富豪と甘く危険な恋
そんな栞南を見ていたダニエルは口を開いた。


「レンさまはミズノさんを愛していますよ」

「ダニエルさんっ!?」


今までどっちつかず……いや、栞南に冷たかったように思えたダニエルだ。栞南は泣いていたことも忘れてダニエルを大きな瞳で見つめる。


「ですが、今レンさまは自分の不甲斐なさ……ひとりでは何も出来ない憤りもあり、いろいろと葛藤しているんです」

「それはわかります……私じゃ頼りにならないけど、少しなら……ほんの少しなら手伝えるのではないかと……でも、頼るほど私に心を許していないんですよね……」


頼られないつらさが身に染みて愛されていた自信が無くなってしまった。ソフィアに言われた時、希望の光が見えたのだが。


「もう少し、気長に待ってはもらえませんか?」

「そんな……レンは苦しんでいるのに……」

「でも、その苦しみをミズノさんに見られたくないんです」

このまま帰ってしまっても、永遠の別れにならないだろうかと栞南は不安だ。

その不安はダニエルでさえも手に取るようにわかる。

蓮に必要なのは栞南だと確信しているが……。

「待ってみてはいただけませんか? レンさまは聖人君子のような生活をしていますから浮気のご心配はありませんよ。どのくらいかかるかわかりませんが、ミズノさんがそれほどまでにレンさまを愛していると言うのなら待っていて欲しいのです」

「ダニエルさん、電話で言っていることと違うんですけど。レンさまに惹かれる女性はうんざりするほどいますから。レンさまの恋人になった女性は数えられないほどですよって言ったんですよ?」


ダニエルは端正な顔に苦笑いを浮かべた。


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