俺様富豪と甘く危険な恋
「もうっ！　ぶつかってきたんだからあやまりなさいっつーの！」


しりもちを着いた時に両手も一緒に付いてしまい、手のひらが痛かった。両方の手のひらを見てみると、擦りむいており血が滲んでいた。

ジンジンとする痛みに栞南は顔を歪める。


「はぁ～」


立ち上がりながら、歪めた口からため息が漏れたとき、ふと蓮を思い出す。


（レンもこんな風に痛い思いを何度もしているのかもしれない……）


通行人の邪魔にならないように脇に退き、傷ついた自分の手のひらを見ながら思った。

蓮を想うたびに胸が高鳴るし、痛む。


「帰ろう」


蓮がどう反応しても出発までちゃんと話をして自分の思っていることを聞いてもらおう。栞南は帰り道、そう考えながらタワーマンションへ向かっていた。

途中、ファストフード店を見つけてハンバーガーをコーヒーで流し込み、タワーマンションへ着いたのは１３時だった。


「お帰りなさい」

「ただいまです……レンは……？」


玄関でダニエルに迎えられて栞南は部屋の中へ進みながら聞く。

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