俺様富豪と甘く危険な恋
「気持ちは嬉しいよ。ありがとう。聞いてほしい……」

「……う……ん」

「こんな風になってしまい、死にたいと数えきれないくらい思ったよ。もう俺はお前にふさわしい男じゃなくなった。守るどころか守ってもらわないとならない立場になったんだ」


蓮は眉間にしわを寄せ、苦悩の表情を浮かべている。


「私が守るからっ! いつでも一緒にいて、どんなことだって、どんな時だって、レンを守る――」

「栞南! 俺が女に守られてこの先の人生を安穏と過ごしたいと思うか?」

「愛しているならどんなでも受け入れられる。本田が逮捕された時、レンは命をかけて私を守ってくれたよね? 全力で私の命を守ってくれたじゃない。今度は私がレンをずっと守るから一緒にいてほしいの」


栞南は蓮の節ばった手をぎゅっと握る。その手が拒否られないのがうれしい。


「俺の心の整理が着くまで……待っていてくれるか?」

「……レン? どうして待たなくちゃいけないの? 待つってどのくらい?」

「俺がお前を愛しているのは今も変わらない。だが、このまま一緒にいても俺は弱くなるだけだと思う。お前の好意に甘んじ、何もできない人間になってしまうだろう。お前は優しいから、どんなわがままな俺でも受け入れる。だから俺は弱いダメな人間になりそうで怖いんだ」


蓮は握られた華奢な手をそっと撫でた。




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