俺様富豪と甘く危険な恋
蓮が覆いかぶさるようにして、胸を愛撫しながら手はジーンズのボタンを外そうとしている。
まるで見えているみたいだった。

あっという間に栞南は脱がされ、蓮は自分の服を手助けされずに脱いだ。


「レン……見えるみたい……」


言ってしまってから、ハッとなる。そう言われるのが苦痛ではないだろうかと。


「ごめんなさい。そう言われるのは嫌だよね?」

「そんなことはない。着るのは難しいが、誰でも脱ぐだけなら簡単に出来る」

「レン、大好き……愛して……」

「栞南……」


蓮は五感を頼りに、栞南を愛していく。

愛する人に愛され、栞南は嗚咽を漏らしそうになった。

蓮と別れた日以来だった。こんなにも心が静かに解き放たれていくのをひしひしと感じていた。


(私はどんなレンでもいい。そばに居てほしい……)


そう願いながら栞南は蓮に愛されたが、彼は意志を曲げなかった。

栞南はそれならそれでいいと思い始めている。今は時間が必要なのだ。待てるだけ待って、それでも蓮が迎えに来なければ、捨て身でぶつかろう。そう決心した栞南だった。

一方、蓮は葛藤していた。

栞南を愛しているからこそ、よく考えなければならない。

愛おしい人に頼るのは簡単だ。そばに居てほしいと言えば栞南はすべてを捨ててそばに居てくれるだろう。

しかし、それでは諸刃の剣かもしれない。栞南に考える時間を与え、自分は自信を取り戻さなければならない。蓮にとって苦渋の決断だった。

心の中では一縷の望みを残して。

一縷の望み……それを栞南に話すつもりはなかった。

今は腕の中で眠っている栞南を手放さなければと、蓮は下唇をかみしめた。

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