俺様富豪と甘く危険な恋
「俺と結婚してくれるよな?」

「もちろんだよ。迎えに来てくれなかったら押しかけるつもりでいたんだよ?」

「俺に一生縛られるんだぞ? いいのか?」

「あたりまえだよ。愛している人なんだから、一生ついていくよ」


どうしてそんなことを言うのか、栞南は不思議だ。


「ブーケを受け取ったお前はいらなさそうだった」

「え……見てたの?」

「ああ。輪に加わらず、傍観していたお前にブーケが飛んできたのには驚いたが。次の花嫁はお前に決まっていたからだろうな」

「そんなの偶然だよ」

「偶然でも神様は見ているんだな」

「ぁ……」


(もしかしたら黄大仙廟(ウォンタイシンミュウ)の神様が……)


「あ? なんだ?」


蓮の腕の中に引き寄せられ、楽しそうな顔が近づけられる。


「ううん。なんでもない」


香港へ戻ったらお礼に行こうと心の中で思った。


「結婚式はどこでしようか? 香港? ロンドン? ハワイ? ハネムーンもお前の好きなところにしよう」

「私はレンがそばに居てくれればいいの。どこでもいい」


スイートルームに入ってくる太陽の光はまるで自分たちを祝福してくれているようだった。

栞南は胸いっぱいに広がる幸せに、この上ない笑顔を蓮に向けた。


END
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