俺様富豪と甘く危険な恋
「ではごゆっくりお休みください」


ダニエルはぼんやりしている栞南をその場に残し出て行った。

部屋に戻ると栞南のスーツケースが部屋の隅に置かれていた。肩に下げていたバッグをおろし、ベッドに腰を下ろすとため息が漏れる。

テーブルの上に散らかされたバッグの中身を適当に突っ込んだせいで、中はごちゃごちゃになっている。

何かをしていないと落ち着かなくて、ベッドの上に中身を出してもう一度戻す。


「あれ……? 携帯がない」


(ホテルで朝日奈さんが私の携帯を手にしたのは覚えているけど……もしかしてホテルに置いて来ちゃった?)


蓮に持っているか聞こうと部屋を出ると、真っ暗だった。


「どうかなさいましたか?」


暗闇の中からダニエルの低い声がして、栞南は驚きビクッと肩が跳ねる。

「あ、あの、携帯が見当たらないので……」

「レン様がお持ちです。明日お聞きください」

「わかりました」


部屋に入りそそくさとドアを閉める。


(びっくりした!)


とりあえずホテルに置いてきたのではないと分かりホッとした。

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