俺様富豪と甘く危険な恋
「職場に電話をかけたら、俺に渡せよ。携帯はお前が持っていない方がいい」

「は?」

「日本へ到着後、奴らから電話がかかってくるんだろう? かかってくるたびにびくびくするんじゃないのか? ほら、今もかかってきている」


蓮は振動する携帯電話をポケットから出して、栞南に見せる。

見知らぬ番号に栞南はぶるっと震えが走った。


「日本にいないことが、バレたんでしょうか?」

「昨日から電話が10本以上入っている。どれも別の番号だが奴らに違いないだろう。日本に戻っていないのがバレるころかもな。もしくはバレている。星野彩からかかってきたらそれは確実だろう」


昨日つけていた車はいつも蓮の動向に張り付いているものだ。

淡々と言う蓮に栞南は泣きそうになった。ずいぶん泣いたのに涙はまだかれていなかったようだ。


「言っただろう? 守ってやると。気を揉まずに食べたら眠ってこい」

「気を揉まずになんて出来ません。領事館に助けを求めてはだめでしょうか?」


焼かれたトーストに目玉焼き、ベーコンにサラダ。コーンスープもあればヨーグルトに数種類のカットされたフルーツまで栞南の目の前に置かれる。

誰が作っているのだろうと、そこまで栞南は気が回らず、トーストを口に運んでいる蓮を見つめる。



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