俺様富豪と甘く危険な恋
携帯をトニーに預けた栞南はベッドに身体を沈ませた。

これからのことが心配でならない。会社を辞めなくてはならないどころか、殺されてしまうかもしれないのだ。

それからしばらく鬱々とこれからのことを考えていた。




いつの間にか眠ってしまい目を覚ますと、時刻は16時を回っていた。


「あ……こんなに寝ちゃったなんて……」


たっぷり寝たせいか、寝る前にあれほど悩んでいた栞南だが、今は少しすっきりした気分なっている。もともと能天気な性格のおかげなのか。


(朝日奈さんは戻ってきたかな?)


栞南は乱れた髪を手でとかしドアを開けた。

ドアから顔を覗かせると、ソファにいたトニーがやって来た。


「レン様は夜遅くなります。食事は下のレストランから運ばせますので」

「は……はい」


まだ戻っていない事にがっかりした気持ちになる。


(えっ? なんでがっかりしているの? 私を事件に巻き込んだ人なんて良く思うはずないのに)


「あのっ、トニーさん、洗濯したいんですが」

「キッチン奥にありますのでご自由に」


トニーが背を向け去ろうとしたが、栞南はもう一つ頼みたいことを思い出し呼ぶ。

< 47 / 369 >

この作品をシェア

pagetop