俺様富豪と甘く危険な恋
「トニーさん!」

「なんでしょうか?」


トニーは振り返り「まだ何の用なんだ」と迷惑そうな顔になる。その顔に栞南はひるむが、退屈しのぎになるのは持って来ている小説1冊だけ。


「パソコンを借りるわけにはいきませんか?」

「パソコンですか?」

「はい。ずっと部屋にいると気が変になりそうで……」


トニーの同情をかってパソコンを借りようとした栞南だが、取りつく島のない返事にガクッと肩を落とす。


「それはレン様にお聞きください。洗濯ルームはご自由にお使いください。では」


元のソファへ戻るトニーの後姿を見ながら、彼らのご主人様は蓮だから仕方ないと栞南は自分を納得させた。


(戻ってきたら聞いてみよう)


栞南はスーツケースから洗濯する服を袋に入れると、キッチンの奥にあると洗濯ルームへ行った。


洗濯ルームと聞いて洗面所だろうと考えたが、そこは6畳ほどの空間で広々としている。ドラム式の大型洗濯乾燥機が置いてある。

電化製品でおなじみの日本製だったことにホッとする。

洗濯ルームにはアイロン台もあり、作業がしやすそうだ。

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