俺様富豪と甘く危険な恋
それから4日が経ち、このマンションへ来て5日目の朝。


「おはようございます」


今日は良い天気だった。香港の1月は雨が少ないとガイドブックに書かれていたのに、2日間雨だった。

2日ぶりに明るい日差しが部屋に差し込んで眩しいくらいだ。

蓮の姿は見えず、いつもと同じくソファに4人のボディーガードがいた。栞南が現れると、トニーがきびきびした動作でやって来る。


「おはようございます」

「トニーさん、おはようございます。朝日奈さんは?」

「30分ほど前に仕事に行かれました」


7時に家を出たことになる。


「そんな早くに……お忙しいんですね」

「今日も遅くなるかと。朝食の用意は出来ていますのでどうぞ」


トニーはここへ来た初日より親切だ。挨拶したときの彼は仏頂面だった。それに比べて若干ではあるけど、口元が緩くなっている気がする。


「ありがとうございます」


それでも栞南がにっこりお礼を言うと、さっとソファに戻ってしまった。

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