俺様富豪と甘く危険な恋
パーコレータからコーヒーをカップに注いで、ランチョンマットの上に用意された食事を食べ始めた。

サラダを口にして、食欲がないことに気づく。

栞南はフォークを置いた。

蓮は栞南との約束を守り、パソコンを使えるようにしてくれていた。パソコンのおかげでいくらかは退屈ではなくなった。長く日本へ帰れなければ、就職活動をしなくてはならないかもしれない。


(本当に何事もなく、帰れるのかな……)


そう考えながらも、求人サイトで自分に合いそうな仕事を探してみるのだが、いつの間にか朝日奈蓮を検索していたりする。英文を翻訳したりして、途中で自己嫌悪に陥る。

助けてくれるからなのだろうか、蓮が気になって仕方ないのだ。

イギリスのサイトでは蓮は女性とデート記事ばかり。どの女性もスタイルが良く、美しさは引けを取らず、そんな記事を見つけてしまうと栞南の心は落ち込む。


(仕事で出かけていると思っていたけど、夜が遅いのはデートしているのかも。最初に会ったときも、アジアンビューティーな女性を連れていたし……)





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