俺様富豪と甘く危険な恋
「火災警報装置のようですが、確認中です」

『本当に火事のようだ。外に出て様子を見るようにと、レン様の指示です』


どこかへ電話をしていた男がトニーに言うが、言葉は広東語で栞南は不安な表情になる。


「ミズノさん、火事です。レン様の指示で外に出るようにと」

「外……」


栞南は外に出るのが怖かった。


「さあ、早く!」


トニーは突っ立ったまま動こうとしない栞南の手を掴むと玄関に向かう。他のボディーガードたちも栞南の前後で行動している。

玄関を出るとすぐにエレベーターだが、先頭のボディーガードは隣の鉄のドアを開けた。


「階段で降ります」

「階段っ!? ここは何階?」

「12階です」

「と、途中が火事だったらっ!?」


有無を言わさず栞南は手を引っ張られ階段を下りる。


「ねえっ! トニーさんっ」


機敏な動きの先頭のボディーガードの姿はもう見えなくなっていた。先に下りて安全を確認するようだ。


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