俺様富豪と甘く危険な恋
「ばかや……ろ……ぉ……」

「寝相も悪いが、寝言もかよ」


蓮の方にあどけない顔で眠る栞南に自然と笑みが漏れる。


「んー……孝太郎……を……みかえしぃ……」


（フラれたのが、相当ショックだったんだな）


栞南の報告書に付き合っていた男が同じ会社だったことを思い出す。


「……水野栞南……お前の望みを叶えよう」


蓮は寝息をたてはじめた栞南にはっきり告げた。





枕を抱きしめたままうっすら目を開けた途端、ガバッとベッドの上に起き上がった。


（うー……頭がグラグラしている）


枕を抱えたままどうしてこんな状態なのか考えてみる。


「あっ！」


（食後、ソファでスコッチを飲んで、孝太郎にフラれた話の後……ええっ！？　そのあと、覚えてないっ！）


覚えていないだけで、ひとりで部屋に戻ってきてベッドで寝たのだろう。そうでなければベッドで眠っているわけがない。

蓮がベッドまで連れて来てくれるとは到底思えない。寝てしまったら、そのままにしておきそうだ。



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