俺様富豪と甘く危険な恋
一緒に選んでくれるらしく、そばにぴったりいる蓮に今度は違う意味で戸惑う。

近すぎて蓮のつけているムスク系の甘く官能的な香りにドキドキし酔ってしまいそうだ。密室だった車よりもなぜか蓮を意識してしまう。


(まるで恋人のようにそばにいるから?)


男性でムスク系の香水をつけている人は自分をいい男だろう?と誇示しているようで栞南は好きじゃなかった。

だが、蓮はムスクの香りそのものの人。

官能的で妖艶で、危険な香りが漂う。そんな香りが彼によく似合っている。

蓮の香りが強く香る位置にずっといたかったが、それでは心臓がもちそうにない。栞南は服を見るフリをして、蓮から離れた。

1メートルほど離れると、蓮の影響力が少し消えたような気がして目の前のワンピースを見る。

ここのブランドはシックな大人の女性が似合うはず。それに比べて自分には似合いそうもないと栞南はワンピースを見ながら思った。


(アルマーニって女性もあったんだね。ブランドに疎いから知らなかった。これを私が着るのは無理があるってもんだよ……)


決める気もなくブラブラ歩いていると、突然クルッと身体を回された。そんなことをする人はひとりしかいない。

振り向かされた途端、シャンパンゴールドの膝丈のドレスワンピを身体にあてられる。




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