俺様富豪と甘く危険な恋
それからダニエルの運転する車は香港島と九龍島を結ぶトンネルを通り、観光客で知らない人はいないザ・ペニンシュラホテルのエントランスに到着した。

ザ・ペニンシュラの隣は栞南がリーズナブルな料金で泊まったホテルだ。それほど日数は経っていないのにすごく懐かしい。

白い制服を着たドアマンが丁寧にお辞儀をしてホテルの中へ入れてくれる。

専用エレベーターに乗り込み、28階まで上がる。エレベーター内は蓮、ダニエル、トニー、ボディーガードふたり。残りのふたりは先にレストランに行っているが、長身の男たちに囲まれている栞南は本当にお姫様になったような気がしてきた。


(もう二度とないんだから、今を楽しもう)


蓮の広い背中を見て、栞南は思った。




窓一面の窓ガラスから、香港島の夜景が見えて素晴らしいロケーションが広がっている。

リッツ・カールトンで食事をした時は、高いところから夜景を眺めたので、それほど感動しなかったが、今は目の前に広がる夜景の美しさにうっとりする。

そして斜め横には横顔の造形も素晴らしい蓮が座っている。

先にオーダーしたシャンパンが運ばれてきた。シャンパンクーラーの中でキンキンに冷えていそうだ。

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