俺様富豪と甘く危険な恋
(……なんか緊張しちゃって会話が続かないよ)


そこへ前菜の甘エビのタルタル添えの手の込んだ料理が運ばれてきた。栞南の希望通り最初からエビ。


「いただきます」


着ている服に恥じないよう上品にナイフとフォークを使ってみる栞南だが、3口目にはこういうところもたまにはいいけれど、やっぱり自分にはもっとカタっ苦しくないところが似合っていると自覚する。

その後もボイルされたオマールエビやら、リゾットが運ばれてくる。


「星野彩がハーバーシティでショッピング中に逮捕された」


濃厚なクリームのリゾットを口にしていた栞南は驚く。手にしていたスプーンが離れ、皿にカシャンと音をたててぶつかる。


「彩が……」


自分を陥れた一味が捕まることを切に思っていた栞南だがこうして知らされると、彩が逮捕されてホッとしたのかなんだか良く分からない。


「ただ今のところ、知らないの一点張りだそうだ。前科もない普通の女性が犯罪にかかわったのは、本田に騙されたのが発端だったのかもしれない。本田が捕まらなければまだこの件は進展しないだろう」

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