君のとなりで。

考え

ー六月

2週間後に控えた宿泊体験の班決めをする時間に、俺は眠気を我慢していた。

この宿泊体験は、入学してまだ二ヶ月の俺達の中を深めよう、と言うことらしい。

教卓には学級委員の園部と望月が司会をしている。

「とりあえず平等にくじで決めるか?」

野球部で坊主頭の園部が投げやりに言うと、クラス中からブーイングが飛ぶ。

それでも誰も案を出さないので、
先生も困り顔だ。

「行動班は仲いい子で組んで、就寝班はローテーションにしようか」

そう言ったのは望月だった。

その案に抗うりゆうもないので、
簡単に話が進んでいく。

そして決まった班が……。

「嫌な予感はしてたよ」

うなだれる俺を、高山がまあまあとたしなめる。

行動班は4人グループで俺、望月、高山、野島の四人だ。

ちなみに野島 咲 (ノジマ サキ)は望月の幼なじみで親友らしい。

野島も望月に負けないくらいの美人だが、うん。

「青葉君、嫌なの?」

柔らかいけれども裏がありそうな笑顔で問いかけてくる望月。

「なんもねーよ」

仕方ないのでこう答えるしかないのだ。

くそっ、普段君なんてくけねーくせによ。

俺等が泊まりに行くのは山の中の施設で、当然自由行動と言っても山の中や近くの川になる。

「じゃあ、ルートとか決めちゃおっか。」

望月班長が話し出すのを俺は黙って聞いていた。

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