君のとなりで。
「木下、お前放課後残れ。」

読者をしていた俺に声をかけたのは、
数学担任の星野。

「なんすか」

人とあまり話すことがないので、
つい素っ気なくなってしまう。

「お前この前のテスト、酷かったから
補充プリント。終わるまで帰るなよ」

「…ういっす」

入学して1ヶ月足らずだが、
学力テストで見事に引っかかった俺には、
放課後残るなんて良くあることだ。

「木下、また居残り?」

やや嬉しそうに話しかけてくるのは、
数少ない友達の高山 修 (タカヤマシュウ)。

「そーだけど、なんでそんなに嬉しそうなんだよ」

そう聞くと、高山は一層顔をニヤつかせて言った。

「望月ちゃんも居残りなんだよ」

「…は?」
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