君のとなりで。
ー放課後ー

……気まずい。

俺は今、テストの補習で教室に残っている。

教室には、シャーペンで文字を筆記する音がやけに響いていた。

チラリと横目で隣を見る。

同じ横列の3つ隣に座る望月の横顔。

…まあ、男子が騒ぐほどの顔してるわな。

嫉妬心なのか、俺は望月が気に入らなかった。

「なに…見てんのよ」

「!?」

一瞬何が起きたのか分からなかった。

クラスの人気者で人当たりが良くて優しい愛されキャラの望月…が。

すげぇキツイ口調で俺を睨んだ。

「聞いてるんだけど、無視?」

「…」

本当に望月か?

いやはや、世の中に完璧な人間はいないもんだ。

そう思っていると、

「ねえ」

再び話しかけられる。

「なんでもねぇよ」

やや動揺しながら答えると、望月は
あっそ、と言って前を向いた。

怖ぇ。誰だコイツ。

それが紛れもない初めての会話で、
目の前のこいつも紛れもない望月本人なのだった。

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