君のとなりで。
「イメージと違った?」

1時間程補習(殆ど自習)を受けて、
帰ろうとした時だった。

望月がやや微笑みながら聞いてきた。

「まぁ…意外っちゃ意外だったけど」

望月はおそらく性格の事を聞いたのだろう。

そう思って答えた。

「だけど?」

さっきの答えに満足していないのか、
さらに聞いてきた。

「なんつーか…イメージ持つほどお前のこと知らねぇし。」

自分でも意味のわからない言葉だった。

それでも望月は納得したのか、
ふーんと言って鞄を持った。

「あんた、名前なんだっけ」

クラスメイトの名前も覚えてないのかよ。

いや俺もうろ覚えだけれども。

「木下」

「下の名前は?」

なぜコイツは呼ぶことのない下の名前を
聞いてくるのだろうと思いつつ答える。

「青葉」

「へー、青葉…」

何度か青葉と呟いた後、

「じゃあ青葉って呼ぶ。」

と言い出した。

「は?いいよ無理して呼ばなくて」

嫌いな奴に嫌々呼ばれてもな。

「私が決めたんだからあんたに関係ないでしょ。」

「…はいはい。」

なんだろう、すげームカつく。

今日話したばかりなのに、なんだこいつ。

「この後、暇?」

「なんで?」

俺は一刻も早く帰りたいのだが。

「お腹空いたから付き合って。」

「どうして俺が…」

飽きれて言うと、望月は可憐に微笑んだ。

「クラスで人気者の望月さんに近づくチャンスでしょ?」

自分で言うのねお前。

てか笑顔が可愛いく見えたのは夕日がいい感じに当たってるからだろ、くそ。









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