君のとなりで。
次の日。

俺は普通に登校してきて教室の扉を開けた。

が。

教室中から降り注ぐ視線。

な、何だこれは…。

「おい、木下!」

高山が俺に近づいてきて、小声で問いただす。

「お前望月ちゃんと放課後デートってどういうことだよっ」

「はぁ?」

昨日確かに望月と放課後寄り道をしたが、あれは断じてデートではない。

「お前なぁ…」

興奮気味の高山をなだめようとしたとき、扉が再び開いた。

ガララッ

「おはよ〜ってみんな、どうしたの?」

…望月本人様だ。



登校してくるや否や、
クラスメイトに囲まれる望月。

沢山の質問を全てきいたあと、

「青葉君にはちょっと話聞いてもらっただけだよ〜」

と、柔らかい笑顔で答えた。

「青葉…君?」

あっくそ、さりげなく名前で呼びやがって。

みんなの視線が痛いぜ。

「それに、ご馳走してもらったしね」

はあ〜?ご馳走?

奢りに決まってんじゃんとか言ってたやつはどこのどいつだ。

ざわめきだす教室。

望月に視線をやると、可愛らしくウインクしてきやがる。

クラス中が俺の言葉を待っているようだ。

「あー…望月とは別になんもない」

ああ、睨まれてる俺。望月に。

怖い怖い。

まあそこで自体はおさまったのだが。

本当に、何がしたいのかわかんねぇあいつ。
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