キラキラDAYS
「この辺に果物売ってるとこ知らない?」
「へっ…?」
く、果物?
「入院してるやつに差し入れしてぇんだけど、俺こっちの方来たことなくて」
あぁ、そういうことか。
確かにこの辺りはコンビニくらいしかないからね。
「あ、あの…私、今からスーパー行くので、一緒に…」
「マジで!?ありがとう、助かった!」
私の言葉を遮って、彼は笑う。
「っ……!」
彼の笑顔が私に向けられた瞬間、胸がぎゅっと締め付けられた。
ずっと見てきた彼の笑顔。
いつか私に向けて欲しいと願った彼の笑顔が、今目の前にある。
嬉しくて、嬉しくて。
思わずこみ上げてきた涙をぐっと堪えた。
「こっちです」
平静を装って彼を連れてスーパーに向かう。
彼は私の少し後ろをついて歩く。
まさか、こんな日がくるなんて。
ついさっきまで、思ってもみなかった。
スーパーについて、彼は真っ先にフルーツ売り場に向かった。
入院している人は、チームメイトの人かな。
真剣な顔をしてフルーツを選んでいる彼を見て、その人は大切な人なんだと思った。