キラキラDAYS



「夜1人で歩くなんて危ないだろっ。家着くまで絶対切るなよ」



切るなって、そういう意味で…。



「私、大丈夫だよ?家までそんなに遠くないし、私みたいな子なんて誰も連れてかないよ」



そんな人がいたら、きっとその人は物好きだね。



「それに綺羅くん疲れて…」


「妃那は何も分かってない……」



分かってない?

それは、どういう意味?



「とにかく、俺が心配なんだよ。だから切るなよ」


「うん…分かった」



綺羅くんって、本当に優しいよね。

でも、それは私にだけじゃなくて、他の女の子にも優しいんだろうな。



そんな綺羅くんが好きだけど、他の子にも優しくしてるって思うと、嫌な気持ちになる。



完璧な嫉妬。


彼女でもないのに。


最初は、話せるだけで充分だったのに。


どんどん欲張りになるから。



「妃那?」

「ううん、なんでもないよ」



この優しさが、私だけに向けられたらいいのに、なんて。


図々しいって、分かってる。

彼女でもない私が望んでいいものじゃないってことも分かってる。



でも、綺羅くんが他の子に優しくしてると思うだけで、胸が苦しくなるんだ。



< 55 / 87 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop