NEWMOON〜君と僕の逢瀬〜
「待って!子供だけじゃ不安だよ!私も行く!」
「君だって子供じゃん!」
走り出した僕のあとをあの子が付いていく。
あてはないがとにかく適当に走れば灯子さんに会えるかもしれない。
大通りまで来て、キョロキョロと見回す。
灯子さん
灯子さん
どこ?
「大悟‼︎」
灯子さんの声がして振り返る。
「その子から離れて‼︎」
「なんで?この子は僕のことを心配して……」
グイッ!
腕を掴まれ、引っ張られる。
バスがすぐ後ろを走った。
「危ないじゃん!あんたもうちょっとでひかれるところだったんだよ!」
「灯子さん、なんでここが?」
「神様達に聞いてまわった」
灯子さんは手刀で空を切る。
女の子は真っ二つに割れ、一瞬で霧散した。
「神様になれなかった子が捧げものとして人間の魂を持って行こうとしたんだね」
かわいそうに。
灯子さんは僕を平手打ちした。
「ばか。なんで勝手な事をしたの?」
「灯子さんが心配だったから……」
「私の心配より自分の心配をしろよ」
「ごめんなさい灯子さん」
ホッとしたら後から涙がこぼれてきた。
灯子さんはポンポンと頭を軽く叩くように撫でる。
この時から、僕は灯子さんに頭が上がらなくなった。