NEWMOON〜君と僕の逢瀬〜
産婦人科の前に灯子さんはいた。
肩で息をする僕を見て爆笑している。
「どうした少年。そんなに息を切らせて、汗だくじゃないか」
「どうしたじゃないよ灯子さん‼︎なにあれ。産婦人科ってどういうことだよ」

「ちょっとね。知り合いのお父さんがピアッシングの練習がしたいから誰かいる?って聞かれてさ。とりあえず開けてきた。似合う?」

灯子さんは右耳をちらりと見せる。
乳白色の石が付いたピアスがキラリと光った。
「ブルームーンストーンのピアスにしてみたよ」
「そうじゃなくて、僕はてっきり……!」
「てっきり、何?なに?」
「その、何だ。何でもない‼︎」
「ついでだからさ。大悟もやってもらえ。ピアスって痛くない体質の人もいるらしいし。大人の階段上がってしまえや」
「は?え?なんて?」
灯子さんに引きずられるように院内に入る。
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