キングとナイト
チャイムがなったので、玄関を開けると、

「こんばんは、魅夜様」

相楽さんが立っていた。

「今月の分です」

そう言って、相楽さんは茶色の封筒を差し出した。

「……ありがとうございます」

実際、嬉しくなんてない。

「それでは、これで」

相楽さんはそう言うと、帰ってしまった。




「んじゃ、夷隅。また明日な」

相楽さんが帰ったあと、会長も帰ってしまった。

『無理、すんなよ』

会長の声が、耳に残っている。
なんか、会長の事を考えると鼓動が速くなる。

なんか、苦しい。だけど、嫌な苦しさではない。

私が、この気持ちに気付くのはまだ先の事。
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