キングとナイト
涙が溢れそうになった。

先輩たちの事を思っていても、溢れそうだったが、会長の事を考えるとその倍、悲しかった。


その時、気付いた。

私は会長が好きなんだ、ということに。

「……っ」

そう思うと、堪えていた涙が溢れてきた。

私は急いで、その涙を振り払う。

「今、気付いたって、遅いのに……」

静かにそう言いながら、私は生徒会室まで急いだ。
早くしないと、決心が揺らぎそうで怖かったから。




とうとう、生徒会室の前まで来てしまった。

……逃げて、しまいたい。
いっそのこと、自分には関係ないからと、投げ出してしまいたい。

でも、それは嫌だった。だから私は、覚悟を決めて、生徒会室のドアを開けたんだ。
< 127 / 281 >

この作品をシェア

pagetop