キングとナイト
「……零、大丈夫ですか?」

朝、家のドアを開けると那智が立っていた。

「よぅ、那智」

何食わぬ顔で那智にそう言って、一緒に学校に向かった。

那智は何か言いたそうだったが、決して口にはしなかった。

那智は何も言わずに側にいてくれるから、楽だ。





「珍しいですね……」

学校の正門で那智がいきなりそう言った。

「何が珍しいんだ?」

「夏樹がいるんですよ。ほら、あそこ」

那智が指差した方向には、確かに夏樹がいた。

「おはよ。会長、那智」

俺たちに気付いた夏樹は、そう言いながら、近づいて来た。
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