キングとナイト
俺は、知らなかった。夷隅に親父の手が迫っていたことを………。




「あのぉー、神谷様……?」

「あぁ゛?」

俺はその日、一日中機嫌が悪かった。

だから、いつも近づいて来る欝陶しい女共もあまり、近づいて来なかった。
俺的には、助かるけど。

そんな気分を紛らすために、俺は一人、屋上に向かった。

立入禁止じゃあないかって?
本来なら立入禁止だろうが、知ったこっちゃねーよ。鍵、壊したからな。


「…お……なん……」

「い……の……」

……先客かよ。今日は、ついてねぇなあ。

ま、バレなきゃ平気か。

俺はそう思い、静かにドアを開けた。
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