キングとナイト
幼かった頃の親父の姿が、頭に浮かんで来た。

不器用だけど、優しい父親だった。



俺は、今すぐに親父と話がしたくて、理事長室のドアを開けた。





「会長!?」

「零!!?」

夷隅と親父は、目を見開いて驚いていた。

しかし、俺はそんなの気にしないで、親父と向き合うように立つ。

「親父…、今の話……」

「!! 聞いていたのか……」

親父は、そう言って俺から、目を逸らした。

「……ゴメン。 俺、親父に隠すつもりはなかったんだ。だけど……!」

結果的に、親父は深く傷ついてしまった。

「…いいんだ、零。悪かったのは、私だ。あの時は、頭に血が上って、お前に当たってしまった」

そう言って、親父と久しぶりに話した。
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